「常磐線」3月14日・全線再開 双葉駅、夜ノ森駅に自由通路設置

 
14日に全線再開する常磐線。常磐道と並び、浜通りを縦断するインフラが整うことで、生活や観光などへの波及効果に期待がかかる(写真は双葉町、上が南側)

 生活、観光、物流などを支える交通インフラ。震災と原発事故の影響で一部区間が不通となり順次再開してきたJR常磐線は、14日に富岡―浪江間が再開し、完全復活する。常磐道は7日に常磐双葉インターチェンジ(双葉町)の利用が始まる。鉄道、高速道と、浜通りの大動脈が強化される。

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から9年。14日にJR常磐線が全線で運転を再開する。つながる鉄路、新しい駅舎...。鉄道の疾走はかつてのまちの姿を取り戻し、新たな地域の在り方を描く一つ。沿線住民とまちの未来を乗せ、常磐線は走りだす。

 不通区間は富岡―浪江間の20.8キロ。橋が折れるなどしたほか、放射線量が高くて、住民の立ち入りが制限される帰還困難区域に指定されるなどしたため、鉄道を走らせることができなかった。

 復旧に向け、JR東日本は2015(平成27)年度から試験除染や調査を実施。16年3月からは除染や橋の復旧工事、電力・信号通信設備の復旧など、本格的な復旧工事を進めてきた。

 環境面の変化にも対応していく。帰還困難区域にすみ着くイノシシなどの野生動物対策として、夜ノ森―浪江間に動物の侵入防止柵を設置。誤って入った動物が外に出るためのゲートも設けた。

 乗降客が利用する駅舎も生まれ変わる。双葉駅は橋上化し、東西の自由通路を新設。人の往来がしやすくなり、交流が進むことが期待される。100年近い歴史がある夜ノ森駅は古い駅舎を解体。東西を結ぶ自由通路を設置した。

 一方で、全てが震災前と同じというわけにはいかない。現在の利用状況などを踏まえ、普通列車は震災前の16往復から、約7割の11往復に。特急列車も震災前の6往復から5割の3往復になるなど、列車の本数は震災前より減る。

 今後の運転本数についてJR東水戸支社は「利用状況などを踏まえ検討していく」としている。