ロボテスで『夢のAI』作る! 大川さん、最先端現場で働き学ぶ

 
「AIのプログラムを作れる研究者になりたい」と話す大川さん。手前にあるのは介護支援コミュニケーションロボット

 避難住民の帰還や風評の払拭(ふっしょく)、産業の再生など、東日本大震災、東京電力福島第1原発事故から丸9年を経てもなお、課題が山積する本県。各自治体が課題の解決を目指す一方、浜通りでは福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想が推進されるなど、復興に向けた新たな取り組みも始まっている。本県の今、そして将来をつくるため、県民はそれぞれの現場で歩みを進めている。

 今春に全面開所を迎えるロボットの研究開発拠点「福島ロボットテストフィールド」(南相馬市、浪江町)。既に稼働している本館の研究棟には県内外の16企業・団体が入居し、最先端技術の研究、開発に取り組んでいる。

 「人工知能(AI)の基礎を学ばせてもらっている」。入居企業の一つ、富士コンピュータ(兵庫県)の研究室では、大川浩誠さん(23)=南相馬市=がAI技術研究員の一員として働く。高齢者の見守りや認知症予防などをサポートする介護支援コミュニケーションロボットの開発に携わる。

 大川さんは都内の専門学校を卒業後、県の「雇用型訓練」制度の訓練生として、昨年11月に入社したばかり。平日は研究所で上司4人の指導を受けながら、ロボットのプログラムの異常を検出して会話の精度を上げる作業などに従事。週末は、同市の県立テクノアカデミー浜で産業用機械の使い方などを学ぶ。働きながら、ものづくり産業に欠かせない技術を磨いている。

 「将来は自分でAIのプログラムを作れるような研究員になりたい」と大川さん。浜通りに新産業を集積する福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想を県が推進する中、担い手としての一歩を踏み出した。