福島県「花き振興計画」25年まで生産額64億円 震災前超え目標

 

 県は2019(平成31)年3月、花卉(かき)栽培による被災地での農業復興などを目的とした「県花き振興計画」を策定した。県はトルコギキョウやカスミソウなどの主要品目を中心に生産額の増加に取り組む。

 県によると、県内の花卉全体の生産額は震災前の10年は63億円だったが、震災後の17年には48億円まで落ち込んだ。同計画では、計画期間終了の25年までに震災前を超える64億円に増額することを目標とする。

 18年の生産額は48億5000万円で17年比で微増。県園芸課の担当者は「徐々に産地が出来上がり、定着してきている」と一定の手応えを語る。ユーカリなどの枝物栽培に意欲を示す団体もおり、県は「農家のニーズに応じて導入を支援していく」とする。白のカスミソウに色を付けて新たな品種を導入したり、オリジナル品種の普及も図る考えだ。

 一方、新型コロナウイルスの感染拡大でイベントや式典で使われていた花の需要が減少。県は、県庁などに県産花卉を展示して魅力をPRするなど、新たな課題への対応も進める。震災と原発事故から9年以上が経過する中、県担当者は「被災地を訪れた人が花卉栽培の現状を見て明るくなる。花卉栽培を復興のシンボルとして発信していきたい」と意欲を見せる。