裁判官が「被災地」現地視察や現場検証 集団訴訟の各原告団要望

 
帰還困難区域にある原告の民家に入る裁判官ら=2019年5月、富岡町(代表撮影)

 「裁判官に実際の被災地の現状や実態を見てほしい」。集団訴訟の各原告団は、現地視察や現場検証を裁判所に要望してきた。

 一部の訴訟では裁判所が必要性を認め、裁判官らが防護服に身を包み、居住制限区域や帰還困難区域となった住民の自宅などを訪れた。

 原告側の代理人によると、こうした裁判所による検証は水俣病や新潟水俣病などの公害訴訟で行われたケースはあるが、裁判官が現場で証拠を確認することは極めて異例という。

 検証に立ち会った浪江町の原告の男性(81)=福島市に避難=は「古里を追われ、苦しんで生活してきた様子が少しでも伝わったのではないか」と振り返った。