古里へ「帰還」...時間たつほど戻りにくく 新たな生活基盤構築

 

 古里への帰還の足取りが鈍い状況が続いている。避難指示解除後の帰還率などを調査する福島大経済経営学類の藤原遥准教授(30)=地方経済学=は「避難指示が長期間に及び、避難先で新たに住宅を建ててしまうなど『(戻りたくても)戻れない』要因が増えた」と理由を説明する。

 避難指示解除後、高齢世帯を中心に帰還を選択する避難者がいた一方で、子育て世代の帰還の足が鈍かった。藤原氏は避難先で新たなコミュニティーを築いたと背景を分析する。避難指示解除から時間がたつにつれて帰還率は「頭打ち」になっていると説明。子育て世代を中心に、現在も残る放射能への不安も帰還の足かせになっているとする。

 避難指示が解除された後、被災自治体は移住、定住施策に力を注ぎ、一定程度、移住者が増えた。藤原氏は「純粋な帰還率を出すことが難しくなっているが、大切なことは避難している人と移住者の両方に寄り添った地域づくりだ」と話した。