「避難指示」3区域に再編 賠償基準に違い、自治体との協議難航

 

 政府は2013(平成25)年8月8日、東京電力福島第1原発事故で避難指示を出した地域の「帰還困難」「居住制限」「避難指示解除準備」の三つの区域への再編を完了した。居住制限区域と避難指示解除準備区域には、将来の避難指示解除という希望が見えてきた一方、放射線量が高い帰還困難区域では「長い間帰れない」という冷酷な現実が突きつけられてしまった。

 福島第1原発は、11年3月11日の東日本大震災で核燃料を冷やす機能を失い、溶け落ちた燃料から発生した放射性物質を外部にまき散らした。政府は原発から半径3キロ(11日)、半径10キロ(12日朝)、半径20キロ(12日夕)と、避難指示の範囲を拡大。多くの住民が避難を余儀なくされた。

 4月22日には、半径20キロを原則出入りができない警戒区域に設定。半径20キロ以遠だが、高い放射線量が測定された飯舘村や川俣町山木屋地区などは、約1カ月で避難する「計画的避難区域」に指定された。このほか、伊達市や南相馬市ではホットスポットが「特定避難勧奨地点」に指定された。

 原発が「冷温停止状態」となったことを踏まえ、政府は12月、避難区域を線量に応じて3区分に再編する方針を決める。5年経過しても年間被ばく線量が20ミリシーベルトを下回らない恐れがある地域を「帰還困難区域」、年間20ミリシーベルトを超える恐れがある地域を「居住制限区域」、年間20ミリシーベルト以下になることが確実な地域を「避難指示解除準備区域」とした。区域により賠償基準などが異なるため、自治体との再編協議は難航し、完了したのが13年8月だった。

 その後、各地で避難指示が解除され、帰還困難区域のみが残っている。現在、6町村の帰還困難区域では、住民が帰還するための特定復興再生拠点区域(復興拠点)の整備が進む。