「中間貯蔵施設」建設受け入れ 福島県、突然の打診から議論3年

 
大熊町から望む双葉町にまたがる中間貯蔵施設には、東京電力福島第1原発事故の除染で生じた除去土壌などが運び込まれている。上は福島第1原発

 2014(平成26)年9月1日、佐藤雄平知事(当時)は官邸を訪れ安倍晋三首相(当時)と会談、大熊、双葉両町への中間貯蔵施設建設受け入れを伝えた。11年8月27日に県庁で当時の菅直人首相が突然、佐藤知事に施設の県内整備を要請してから約3年。さまざまな議論を経て、施設の建設が決定した。

 施設整備を巡る議論は、9月の受け入れ伝達まで、ガラス細工を作るような緊張感が続く。5月1日には大熊、双葉の両町議会が政府の住民説明会の実施を了承、これを受けて31日に説明会が始まった。進展したように見えたのもつかの間、6月中旬、石原伸晃環境相(当時)が地元との交渉に触れ「最後は金目(かねめ)でしょ」と取材記者に発言。これが大きな批判を浴び、石原環境相が施設整備の候補地となっていた大熊、双葉両町長と佐藤知事の元を訪れ、直接謝罪する事態となった。

 8月になると国は佐藤知事、大熊、双葉両町長に施設を設置している30年間で総額3010億円の交付金を拠出することを提示。施設整備を受け入れる土台が整った。

 佐藤知事は施設受け入れを安倍首相に伝えた3日後の9月4日、知事選3選出馬をせずに退任することを表明。県政最大の課題と位置付けた施設整備の方針にめどが付いたことなどを理由に挙げた。

 中間貯蔵施設の議論が続くのと並行し、インフラ整備にも進展があった。2月22日、常磐道広野―常磐富岡インターチェンジ(IC)が3年ぶりに再開通した。6月1日にはJR常磐線広野―竜田間が避難区域としては初めて運行を再開。12月6日には常磐道浪江―南相馬IC間と相馬―山元IC間が開通し、浪江IC以北と仙台圏が直結された。