「藤沼湖」農業用水供給再開 東日本大震災で決壊、甚大な被害

 

 東日本大震災で決壊し、甚大な被害が発生した須賀川市の農業用ダム「藤沼湖」(藤沼ダム)は2017(平成29)年4月、7年ぶりに下流域に農業用水が供給された。

 震災ではダムに貯水されていた約150万トンの水が下流に流れ下り、集落をのみ込んだ。22棟が全壊し7人が死亡、幼児1人が行方不明となった。

 県が復旧を進めた新しいダムは、材料に粘土質を使用するなど安定した構造を採用、東日本大震災級の長時間の強い揺れにも耐えられる設計で造られた。13年に湖底で群生しているのが見つかったヤマアジサイを地元住民らが「奇跡のあじさい」とし復興のシンボルとして植樹したり、里親を募って増やしたりしている。

 当時濁流にのみ込まれた被災地では住宅の建て替えも進んだ。今年1月にはダム近くの公園に、犠牲者を追悼し災害の記憶を後世に伝えるための慰霊碑が完成。11日に除幕式が行われる予定だ。