サッカーの聖地・Jヴィレッジ「一変」 原発事故対応の拠点に

 
東京五輪の聖火リレースタート予定地のJヴィレッジ。第1原発事故の対応拠点から再生した本県復興の象徴であるサッカーの聖地から「復興五輪」開催へ始まりの時を静かに待つ=2021年

 東京電力福島第1原発事故の対応拠点となったサッカーのナショナルトレーニングセンター「Jヴィレッジ」(楢葉町、広野町)が2018(平成30)年7月28日に営業を再開した。原発事故から7年4カ月ぶり。サッカーの聖地に再び歓声が戻った。

 第1原発まで約20キロに位置するJヴィレッジは東日本大震災と原発事故で状況が一変した。ピッチは資材置き場となり、東電や関連企業の社員寮も建ち、トラックが行き交う中、戦車も配置された。このため再開に向けては天然芝の張り替えを実施。新しい宿泊棟や国内唯一の全天候型練習場も整備され、新たな聖地として生まれ変わった。

 営業再開を祝い、スタジアムでは記念試合が行われた。試合開始と同時に午後2時46分で止まっていたスタジアムの時計が動き始めた。それから約9カ月後の19年4月20日、Jヴィレッジは全面再開した。全面再開に合わせ、JR常磐線には21年ぶりとなる新駅「Jヴィレッジ駅」が開業した。

 Jヴィレッジは、東京五輪・パラリンピックの聖火リレーの出発地に選ばれている。静岡県に拠点を移したサッカー選手育成機関「JFAアカデミー福島」も順次、Jヴィレッジに帰還する。本県復興のシンボルとして地域活性化への期待がますます高まっている。