語り部口演「受け身にならず情報発信」 郡山・人の駅 桜風舎

 
展示された写真を並べながら町での思い出や原発事故後の生活を振り返る語り部の(右から)遠藤さん、磯野さん

 「震災10年といってもまだ復興の途上。時間がたち、興味や関心が薄れていると感じる」。危機感を隠さないのは、NPO法人富岡町3・11を語る会代表の青木淑子さん(73)だ。郡山市長者に設けた集会施設「人の駅 桜風舎」を6月に改装し、依頼に応じて行ってきた語り部口演を毎日4回行うことにした。

 15年開所の「人の駅」は、郡山という交通の便が良い場所に立地したことから、県外の視察者が多く訪れていた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で、最近は語り部の口演依頼も減少した。忍び寄る風化の足音。青木さんは「受け身ではなく、多くの人に富岡のことを知ってもらえる情報発信をしたい」と意気込む。

 施設には20人の語り部が所属する。遠藤スズ子さん(76)は今春から語り部を始めた。「親から戦争の話をもっと聞いておけばよかった。原発事故も風化させてはならない」という思いが、背中を押したという。先輩格の語り部、磯野玲子さん(69)は「活動はまだ浸透していない。郡山の人にも原発事故後の富岡をもっと知ってもらいたい。一日一組でも来てほしい」と語る。問い合わせは同施設(電話024・973・7151)へ。