震災状況後世へ「そのもの」保存を 無償譲渡など再利用後押し

 

 県は2016年4月、仮設住宅に空きが目立ってきたことを受け、利活用を希望する自治体などに無償譲渡する制度を設けた。17年7月には、譲渡先に民間企業も加えて再利用を進めてきた。

 この制度を利用し、移住者向けの「定住促進住宅」などに生まれ変わった仮設は276戸に及ぶ。このうち56戸は岡山県総社市に譲られ、18年7月豪雨で被災した人の仮設住宅として役立てられた。県の無償譲渡の枠組み以外でも、再利用された仮設はあるという。

 県は、仮設住宅を再利用した三島町の「一棟貸ヴィレッヂかわべり棟」と、仮設住宅の建材を使って建てられた会津若松市の「復興公営住宅城北団地」を震災伝承施設に登録している。

 ただ、被災当時の状況を後世に伝えるためには仮設住宅そのものを保存し、制限された住環境を追体験できる施設として展示する取り組みも必要ではないか。仮設住宅がまだ残されている今、判断が求められる。