高校生議論...広野に光 ふたば未来生、ゼミから広がる課題解決

 
町内に設置したイルミネーションを囲みながら談笑する(左から)鈴木さん、西間木さん、貝沼さん、中島さん

 「どうしたら取り組みを知ってもらえるかな」「回覧板にアンケート入れてみたらどうだろう」。2月下旬の休日、広野町のふたば未来学園高を訪れると、熱い議論を交わす生徒たちの姿があった。

 議論の中心にいるのは、生徒会長の中島一葉さん(17)だ。東日本大震災から間もなく11年となるが、まだ町内の街灯は少ない。中島さんは「町と住民の心を明るくしたい」と考え、通学路にイルミネーションを設置するプロジェクトを考えた。その思いに賛同した2年の鈴木一真さん(17)、貝沼秀基さん(17)、西間木健太さん(17)とともに、1月末から実際に点灯を始めた。

 4人は取材した時、2月末としていた点灯期間をさらに延長し、より良いものにしようと意見を交わしていた。ホワイトボードに課題を次々と書きだす。「イルミネーションのそばに看板も設置したいよね。ふたば未来の生徒がやったって分かるように」「せっかくだったら新入生にも見てほしいよね」。2時間たっても、アイデアが尽きることはなかった。

 ふたば未来学園高には、原子力防災や再生可能エネルギーなど興味があるテーマを選び、自分たちで地域課題の解決を考える「探究ゼミ」の時間がある。生徒たちはゼミで学んだことを生かし、イルミネーションに太陽光発電を活用するなど、環境に配慮した取り組みにこだわった。「再エネで広野町に彩りを」がテーマになっている。

 話し合いが一段落すると、イルミネーションの設置場所まで案内してくれた。ハートの形や円すいの置物に電飾を巻き付けて作ったという。「これ全部ですよ」と、イルミネーションを指さし、興奮気味に話す。

 生徒たちの情熱を感じるとともに、ふと考えた。自分の高校生活を振り返ると、ここまで地域のことを考えて行動したことは、ついぞなかった。生徒たちに理由を聞いてみた。中島さんは「せっかくここに入学したのですから。地域を巻き込んで何か成し遂げたいんです」と目を輝かせて答えた。「自分もしっかりしなければ」と刺激を受けた。

 帰り道、浜通りを南北につなぐ国道6号を車で走りながら、復興途上の街並みを眺めた。「変革者たれ」という教育方針で学んだ生徒たちが、大人たちに続き前例のない分野が多い本県の復興を築いていくと確信した。(相双支社・斎藤駿)