請戸漁港が復旧 福島県内10カ所全てで工事完了

 

 東日本大震災で甚大な被害を受けた浪江町の請戸漁港の復旧工事が昨年に完了した。これにより、震災で被災した本県沿岸の漁港10カ所全てが復旧し、「常磐もの」として名高い本県水産業の復興に向けて弾みがつく1年となった。

 県によると、請戸漁港の震災前の水揚げ量は約2357トン(2010年)。相双地区では相馬市の松川浦漁港に次ぐ水揚げ量があり、沿岸漁業では県内有数の規模を誇っていた。しかし、津波で防波堤や岸壁など34カ所が壊れ、漁港のある浪江町は東京電力福島第1原発事故後、警戒区域に指定された。福島第1原発に最も近い漁港のため、復旧作業に時間を要した。

 震災後、請戸の漁師たちは南相馬市の真野川漁港に漁船を係留して漁を再開。17年2月に請戸漁港の岸壁の復旧工事が終了したことから、同漁港に帰還した。19年10月には荷さばき施設や貯氷冷凍庫施設などで構成する「水産業共同利用施設」が整備され、20年4月には震災から9年ぶりに競りが再開。本格操業の再開に向け、請戸産の新鮮な魚介類を日々、水揚げしている。

 震災で被災した県内の他の漁港では、14(平成26)年度にいわき市の勿来漁港が復旧。その後、15年度に豊間、久之浜(いわき市)、16年度に小浜(同市)、17年度に釣師浜(新地町)、18年度に松川浦(相馬市)真野川(南相馬市)富岡(富岡町)四倉(いわき市)の各漁港が順次復旧した。