福島県内の高校生を「語り部」に 県教委、震災の記憶次世代へ

 

 県教委は本年度、震災の記憶を次世代に伝承するため、県内27校で「高校生語り部事業」を始めた。各校の生徒が課題探求の授業の中で震災伝承に関する施設を訪れたり、話を聞くなどして「語り部」としてさまざまな学習に取り組んできた。

 県内の高校では、これまでも震災や復興について学ぶ取り組みが行われてきたが、個人や学校単位での取り組みに限られてきた。震災から11年が過ぎようとする中、震災を経験していない世代も増加。「語り部事業」は生徒が学ぶ姿を通じ震災の記憶の伝承や風化防止につなげようと始まった。

 1月24日にオンラインで開かれた発表会では、語り部として学んできた生徒が成果を報告した。震災後に起きた震度6弱の余震などについて新聞にまとめる取り組みや、同じ大地震に見舞われた熊本県の生徒の交流など、さまざまな取り組みが発表された。事業の成果について県教委の担当者は「震災を経験していない若い世代が増える中、(語り部事業は)生徒にとって大きな学びとなった」と手応えを語る。県教委は来年度以降も事業を継続していく方針だ。