危機対応、課題が浮き彫り 相次いだトラブル、地震被害多岐に

 

 東京電力福島第1原発に今回の地震が及ぼした被害は多岐にわたった。1号機原子炉格納容器では地震の影響とみられる水位の低下があった。溶け落ちた核燃料(デブリ)の冷却に問題はなく、外部への影響も確認されなかったものの、水中ロボットを使った内部調査の中断につながるなど、長期戦となる廃炉工程での地震によるリスクが改めて浮き彫りとなった。

 第1原発5号機に加え、第2原発1、3号機では使用済み核燃料プールの冷却が一時的に自動停止した。プールは大きな揺れを感知すると、自動的に冷却が止まる仕組みで、揺れによりプールの水がこぼれた。第1原発2号機ではプールにつながるタンクの水位が下がり、手動で冷却を止めた。

 東電によると、各号機ではプールの水温が運転管理上の制限値(上限値)である65度を大幅に下回っていた。担当者は、設備の故障を防ぐことを優先したとし「水温が制限値まで余裕があったことを踏まえ、いったん冷却を止めて原因を確認した」と理由を説明した。

 最大震度6強を観測した昨年2月の地震に続き、今回の地震でも処理水などを保管するタンクのずれが見つかった。昨年2月に東電がタンクのずれを公表したのは発見の4日後だったが、今回は発生翌日の3月17日、タンク85基にずれがあったとの調査結果を公表した。しかし、同18日には新たに75基でずれていたと追加し、千基を超えるタンク群での調査の難しさが明らかになった。

 ほかにも構内では影響があり、野積みになっているコンテナが倒れた。コンテナには使い終えた防護服などの廃棄物が入っていた。

 東電は昨年2月の地震で対応が遅れた反省から、タンク群などがある現場パトロールを強化した。ただ今回も被害状況の全容把握に時間がかかり、有事の情報収集の在り方が問われた。