時間割は自由「課題解決」 大熊・義務教育学校、伸び伸び学ぶ

 
教員が問題のヒントを教え、タブレットを用いて問題を解く大竹さん(左)と児童=会津若松市・学び舎ゆめの森

 会津若松市の旧河東三小校舎に今春開校した大熊町の義務教育学校「学び舎(や)ゆめの森」では、全児童生徒7人が自由に時間割を作り、伸び伸びと学んでいる。タブレットを使った授業では子どもたちが指で文字を入力し、問題を解いていた。悩んでいると、教員が「(直方体の)面と垂直な面は何枚?」と声をかけ、箱の面に指をさす。「1、2、3、4」と一緒に数え答えを導いた。

 大熊町の大野小、熊町小、大熊中の3校が一体化して発足した「学び舎ゆめの森」は来年4月、同町大川原地区に整備中の新校舎に拠点を移す予定だ。町は東京電力福島第1原発事故による全町避難を経て、2019年4月に大川原地区など一部地域で避難指示が解除された。今年は、かつての中心部だった地域も避難指示が解除される見通しとなり、帰還や移住が進む町の子どもの受け皿を設けようと、町教委は12年ぶりに町内で教育を再開させる。

 同校は社会課題を自分ごととして捉え、自分の考えを持って行動できる人材の育成を目標に掲げる。このため社会課題やSDGs(持続可能な開発目標)に取り組む「未来デザイン」の授業に力を入れる。専門家を講師に招き、物事の考え方や見方を学び、自身の将来設計に役立てる時間としている。

 「0~100歳の学び舎」を目指す同校では、聴講生の大竹英子さん(57)が子どもと机を並べ「学び直し」に励んでいる。佐藤由弘校長(59)は「大人も子どもも一緒に学んで教え合う。町の人の生きる喜びが見つかる学び舎になれば」と明るい未来を思い浮かべる。