南相馬市長・門馬和夫氏に聞く 「チャレンジしやすい環境を」

 
「小高区の魅力を目に見える形にしてアピールしていく」と語る門馬市長

 南相馬市の門馬和夫市長に避難指示解除から6年がたった小高区の課題と復興創生への展望を聞いた。

 ―小高区の現状と課題をどのように捉えているか。
 「商業施設や診療所などが開設し、住民が生活するための不安に一つ一つ対応してきた。その結果、小高区の居住人口は約3800人に回復した。だが、約1万2800人だった原発事故前の約3割にとどまり、右肩上がりに増えていく状況ではない。小高区は原発事故前、1万人以上の人口で成り立っていた地域。人口や広さ、生活環境などを踏まえ、どのようにバランスの取れた地域づくりを進めるか考える時期にある」

 ―復興創生に向けて特に力を入れる政策は。
 「いまだ課題の多い小高区は、若い人たちにとってさまざまな挑戦ができる場と考えている。若手起業家らの移住も増えており、福島ロボットテストフィールドなどを核に、新しいことにチャレンジしやすい環境を整えている。移住施策に取り組む自治体が多く、地域間の競争は激しい。挑戦しようとする人らに対し、小高区ならではの魅力や取り組みを目に見える形にしてアピールしていく」

 ―市立総合病院付属小高診療所について、入院などが可能となる「有床化」への取り組みは。
 「帰還した住民が高齢化する中、入院機能を再開できず、じくじたる思いだ。ただ、医師不足に加え、感染が急拡大する新型コロナウイルスへの対応で医療を取り巻く環境は厳しいのが現状だ。『今すぐに』とはいかないが(2026年1月までの)任期中に医師確保を含め方向性を出したい」