JR浪江駅西側が候補地、9月16日立地場所決定 国際研究機構

 

 政府が福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の核として浜通りに整備する福島国際研究教育機構は、この半年で具体化へ前進した。機構を法制化した改正福島復興再生特別措置法の成立を受け、県は立地候補地にJR浪江駅西側の浪江町川添地区を提案。政府は16日に立地場所を決定する予定で、来年4月の設立に向けて準備を加速させる方針だ。

 機構は〈1〉ロボット〈2〉農林水産業〈3〉エネルギー(カーボンニュートラル)〈4〉放射線科学・創薬医療〈5〉原子力災害に関するデータや知見の集積・発信―の5分野を軸に研究開発に取り組む。

 約50の研究グループに国内外から数百人が参加する見込みだ。研究開発に加え、産業競争力の強化や人材育成を図る狙いがある。

 政府が8月に定めた「新産業創出等研究開発基本計画」、全体を「日本再生のリーディングプロジェクト」と位置付け、国の総力を挙げて推進する方針を明記。完成した施設から順次、運用を始め、2030年度までの全施設の完成を目指す。ただ、機構の安定した運営に必要な予算と人材確保の見通しは立っておらず、政府の実効策が焦点だ。

 一方、機構を核とした広域的なまちづくりを掲げる「研究タウン」構想も動き出す。県は立地選定に当たり、浜通りや全県への波及効果を重視。数百人の研究者らの生活圏を広げることで、避難指示が解除された地域の居住人口の回復や関係人口の拡大につなげたい考えだ。県内各地の研究施設や企業、教育機関とのネットワークを形成し、研究開発や産業振興、人材育成で相乗効果を生み出す仕組み作りにも力を入れる。

 機構の初代理事長に就く金沢大前学長の山崎光悦氏は研究に関し「わくわく感をどう生み出すか」を重視する考えで「世界的な研究者を輩出し、その研究成果を基に福島の産業が育ち、人が育つような拠点にしたい」と将来像を描く。