「宿泊、飲食施設まだ足りず」 県観光物産交流協会・斎藤さん

 

 県観光物産交流協会の斎藤辰彦ホープツーリズム担当部長(60)は「順調に教育旅行需要などが伸びている。今後は個人へのアプローチを強化していかなければならない」と戦略を練る。県の旗振りにより、各旅行会社が個人向け商品の検討を開始しており、年度内の具体化を見込んでいる。

 しかし、個人旅行の需要を取り込んでいくには課題が山積する。交通手段は車にほぼ限られるため、商品は都市発着のバスツアー形式が主体にならざるを得ない。「宿泊や飲食の施設もまだまだ少ない。民間企業の参画が増えてくれるとありがたいが...」と切望するのが実情だ。

 教育旅行や企業研修の団体客をどこまで増やせるかも重要となる。斎藤さんは地域資源を生かしたアウトドアやフルーツ狩り、農作業体験などとの組み合わせを念頭に置き「学びだけでなく観光や遊びの要素も充実させたい」と新たな誘客策を説明。沖縄や広島、長崎と並ぶ教育旅行先を目指し、5年後には年間10万人を突破する展望を描く。

 近年の誘客が順調な背景には、新型コロナウイルス禍で海外などへの旅行が敬遠され、消去法で福島が選ばれた側面もあるという。「継続して訪れてもらえる仕掛けが大切だ」と斎藤さん。ツアー客には「数年後に復興が進んだ福島を再び見に来てほしい」と呼びかけているといい、リピーター拡大に知恵を絞る。