無罪判決に遺族「このまま終われない」

 
東京高裁判決を受け「全員無罪」と書かれた紙を掲げる福島原発刑事訴訟支援団のメンバーら=1月18日、東京高裁前

 原発事故の被害者遺族からは、無罪判決に対するやるせない思いと上告を歓迎する声が聞かれた。双葉病院(大熊町)系列の介護老人保健施設に入所していた両親を避難中に亡くし、大熊町から双葉郡内に避難して生活する女性(70)は新聞記事で上告を知った。「やはり、あのままで終わることはできない。遺族の思いに応えてくれた」と話した。

 女性は一審、控訴審で計20回以上、裁判を傍聴した。しかし、控訴審の判決公判日は「一審に続き、無罪が言い渡されるのでは」との不信感から、自宅にとどまった。テレビに「3人に無罪判決」の速報が映し出されると「悔しい」と繰り返した。

 控訴審では、遺族側が求めた裁判官による原発の現場検証が採用されず、争点が津波の予見可能性に終始し「家族がどんな状況か知りたかったのに、ないがしろにされた気持ちだった」と女性。最高裁での審理に「裁判官は事件に誠実に向き合って」と願いを込める。