飯舘に彩り...カスミソウ 花井さん「移住者の活動多く知って」

 
ハウス内でカスミソウを手入れする花井さん。「花卉栽培を通じて村の復興を後押ししたい」と意気込む

 東京電力福島第1原発事故による避難指示が富岡町と浪江町、川俣町山木屋地区、飯舘村の帰還困難区域を除く地域で解除されてから6年が過ぎた。長期避難で地域から失われた活気をどうやって取り戻していくか。関係者は復興に懸ける思いを胸に、さまざまな分野でなりわいの再建を目指して汗を流し続けている。

 花井由貴さん 37

 福島市から飯舘村に移住した花卉(かき)農家の花井由貴さん(37)は、カスミソウの栽培を通じて村の基幹産業である農業の再生に汗を流している。「まだまだ勉強不足だけれど、私のような移住者の活動を多くの人に知ってもらうことで、復興していく村の姿の発信につなげたい」と意気込む。

 花井さんは福島市出身。全村避難で市内に避難していた村出身の夫と出会い、結婚した。村に残された田畑を心配する義母の姿を見て「村の復興のために農業を始めたい」と一念発起。2018年に夫と一緒に村へ移り住み、就農した。

 フランス語で「天空」を意味する「シエル」から、農園を「しえるふぁーむ」と名付けた。被災地での営農再開を支援する補助金を活用し、ビニールハウス4棟を整備。現在は約2000株のカスミソウの栽培を手がけている。10センチほどに育ったカスミソウを手入れしながら、これまでの失敗や苦労を振り返るときもある。「農家は大変だけど、出荷先で『花井さんの花を楽しみに待っていたよ』と言ってもらえるのがやりがいにつながる」

 カスミソウが順調に育てば6月ごろに収穫し、都内の市場や村内外の道の駅に出荷する予定だ。「もっと経験を積んで、新規就農や移住者の増加に少しでも貢献できるようになれたらいいな」と笑みをこぼす。