【首長に聞く】双葉町長・伊沢史朗氏 バランス感覚持って復興を
双葉町は、特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示が2022年8月に解除され、住民生活が再開した。帰町から1年半を経て伊沢史朗町長は「帰還者と移住者、避難先の町民それぞれの思いを考え、バランス感覚を持って復興に取り組みたい」と話す。
―町の復興状況は。
「町内人口は100人に達し、少しずつにぎわいが戻ってきた。JR双葉駅西側に整備中の『えきにし住宅』は5月に全86戸が完成し、さらに帰還と移住が増える。医療や買い物など最低限の生活環境が整いつつある。特色ある企業も進出した。しかし、まだまだ復興したとの感覚には至っていない。復興には時間がかかるが、着実に取り組みたい」
―帰還困難区域の再生や、中間貯蔵施設に一時保管している土壌の再生利用と県外最終処分に向けた考えは。
「町の85%に帰還困難区域が残る。特定帰還居住区域の追加設定へ調整しているが、生活圏に農地を含むかどうかを巡り、国と温度差がある。町民にとって生活圏は農地とセットだ。町民が納得できる区域計画を国に求めたい。中間貯蔵施設は県民や国民も真剣に向き合うべき課題だ。双葉と大熊だけがいつまでも犠牲になっていいのか、原発のエネルギーは誰が享受したのか、そうした議論を深めて広く理解醸成が進んでほしい」
―学校の町内再開に向けた取り組みと狙いは。
「町が存続していくためには新しい人材を育てる必要がある。隣の浪江町にできた福島国際研究教育機構(エフレイ)には海外からの研究者や技術者が家族連れで来る。この地域には海外の子どもを受け入れる学校はなく『それならば双葉が受け入れよう』と。日本の義務教育学校でありながら、海外の子どもも一緒に学べるような学校にしたい」
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