【首長に聞く】松本幸英楢葉町長 移住定住増で活力あるまちへ

 
移住と定住の促進に向けた施策を充実させる」と語る松本町長

 全町避難を経て2015(平成27)年9月に避難指示が解除された楢葉町。住民の生活基盤はほぼ整い、復興に向け新たなステージを迎えている。松本幸英町長は「移住と定住を促進させる施策に重点的に取り組む」と意気込む。

 ―震災から10年を迎える町の復興の状況は。
 「住宅と商店街、地域交流館などを集約した復興拠点や屋内体育施設を整備し、にぎわいが生まれている。町民の約6割に当たる4030人が町に戻った。今後は移住や定住する人を増やし、活力のあるまちづくりを進める」

 ―移住と定住の促進にどう取り組むのか。
 「住みやすく、魅力ある働き方と余暇も充実できる環境整備が重要で、そのための準備を進める。移住者は新しいまちづくりを進めるための活力となる。住民と交流しながら地域の魅力に触れられるシェアハウスの運営など、町に関心を持ってもらうための施策を展開したい」

 ―震災後の重点施策に「日本一の教育環境」を掲げてきた。成果は。
 「国際化を見据え、キャリア教育や小中学校などへの外国語指導助手(ALT)の配置を通じて未来を生き抜く力を育んできた。質の高い教育のノウハウを持ついわき市の民間こども園と協定を結んで幼児教育も充実させ、町内で学ぶ子どもは増えている。今後も『楢葉で教育を受けさせたい』と思えるような教育環境の構築に取り組む」

 ―町の将来像をどう描くのか。
 「今後は自らの力で町の将来を切り開く覚悟が必要だ。新年度からは新たな町の最上位計画「第6次町勢振興計画」が動き始める。農業再生の主力品目とするサツマイモの栽培や合宿の誘致などスポーツ振興に取り組みながら発展を目指す」