【首長に聞く】藤原一二川俣町長 住民総意の下で復興を目指す

2017(平成29)年3月末の避難指示解除から丸4年を迎えようとしている川俣町。避難指示が解除された山木屋地区では、住民帰還の足取りは重く、復興に向けた取り組みが課題となっている。一方、「ふくしま復興再生道路」に位置付けられている国道114、349号の整備など、地域再生に向けた環境整備が進む。藤原一二町長は「復興事業の総点検を行い、住民総意の下で町全体の復興を目指す」と意気込む。
―震災から間もなく10年を迎える。
「『10年一昔』という言葉があるように、社会は復興に向けて刻々と変化を遂げてきた。復興とは、元に戻すことではなく、震災前よりも発展した状態にすることが本当の復興と言える」
―山木屋地区の移住定住の促進が課題となっている。
「地区の居住人口は震災時の半数にも満たないのが現状。そのような中、地元のNPO法人が昨年5月、復興拠点商業施設『とんやの郷』に食堂をオープンさせた。こうした地区にとって明るい動きが波及し、移住定住の促進につながることを期待したい。また、企業が新たに進出する際の受け入れ態勢や新規就農者の支援も整備する必要がある」
―人口減少や少子高齢化対策が喫緊の課題となっている。
「中心市街地の空洞化対策が打開策の一つ。高齢者が集う場や、子どもの遊び場をアクセスの良い場所に整備していきたい。加えて、安心して子育てができる環境や制度を整えていく」
―今後の町づくりをどう進めていくか。
「川俣には自然豊かな里山や川俣シャモ、シルク、前田遺跡など交流人口を呼び込む鍵となる観光資源が多数ある。観光資源に親しむウオークイベントといった町の魅力を広く発信する仕掛けを考えていきたい」