【首長に聞く】遠藤雄幸川内村長 若い世代の視点大切に将来像

 
「若い世代の視点を大切に村づくりを進める」と話す遠藤村長

 東京電力福島第1原発事故に伴う全村避難を経て、2012(平成24)年1月の「帰村宣言」から9年を迎えた川内村。双葉郡で唯一、震災当時から首長を務める遠藤雄幸村長は「若い世代の視点を大切に将来像を描いていく」と話した。

 ―震災から丸10年を迎える。復興の現状は。
 「住民の約8割が村に戻った。整形外科や眼科など医療機関の診療科目が増え、路線バスの数など震災前より充実した面もある。田ノ入工業団地の整備により企業の誘致も順調で、働く場の選択肢も増えた」

 ―課題となっている若い世代の帰還の促進にどう取り組むのか。
 「帰還した住民の大半が50代以上だ。子育て世代の支援の充実が重要となっている。4月に義務教育学校「川内小中学園」が開校し、特色ある教育を展開する新たな学びの空間となる。若い世代に『川内村に戻りたいな』という気持ちが芽生えるように教育を充実させたい」

 ―移住と定住の促進に向けた取り組みも重要だ。
 「ひとり親世帯の移住政策などに力を入れてきた。現在、移住者は村民の約2割を占めており、外の視点を生かして村に新しい風を吹き込んでくれた。専門的な技術や知識を持つ人もいて、復興の大きな原動力になっている。新天地への移住という大きな決断が無駄にならないよう、住宅や働く場の確保についても支援を続けたい」

 ―村の将来像をどう描くのか。
 「子どもや若者、女性の視点を大切にしながら施策を進めていきたい。文化やスポーツの振興に力を入れる。未知の分野への挑戦も続ける。村産のブドウを使ったワインも間もなく完成する。村民が生きがいや充実感を持って生活できる環境実現に向け歩んでいく」