【首長に聞く】篠木弘葛尾村長 移住者増加へ企業誘致

 
「雇用創出で移住者を迎えたい」と話す篠木村長

 東京電力福島第1原発事故により全村避難し、2016(平成28)年6月に帰還困難区域の野行地区を除き避難指示が解除された葛尾村。篠木弘村長は「企業誘致で雇用を創出し、移住者を迎えたい」と話す。

 ―村の復興状況は。
 「暗中模索の10年だったが、役場機能の帰還、小中学校の再開など、目に見える形で復興は進んできた。村復興のシンボルに位置付ける復興交流館が18年にオープンし、産地直売など各種イベントが開かれている。昨年までに延べ約4万4000人が来館し、当初の目的を達成している」

 ―基幹の農畜産業は。
 「除染廃棄物の仮置き場になっていた優良農地の返還が進み、本年中には全てが返還される予定だ。震災前の水田の作付面積は約130ヘクタールあった。昨年は36ヘクタール、今年は50ヘクタールまでに回復する。畜産、酪農、養鶏は集約、大規模化し、支援を進めていきたい」

 ―居住者数は新規転入者を含め約400人。帰村率は震災前の約3割だ。
 「村内2カ所に産業団地を整備した。企業2社が新たに立地する予定だ。入居が決まっていない区画があるため、誘致を一層進めて雇用につなげ、移住者を迎えたい。その一方で移住者の住む場所がなく、大きな課題だ。雇用を生みながら、住環境の整備を進めていかなければならない」

 ―野行地区の一部は特定復興再生拠点区域(復興拠点)に指定され、来春に避難指示が解除される。
 「拠点の面的除染は完了した。秋には準備宿泊を実施できるよう、簡易宿泊所を整備して対応する。一方、拠点から外れた家が4戸ある。国はまだ拠点外の除染や解除の方向性を示していない。引き続き、帰還困難区域を抱える町村と連携し、早期に方針を示すよう求めていく」