【首長に聞く】遠藤智広野町長 地元企業と脱炭素化へ取り組む

 
「二酸化炭素排出ゼロに向けたまちづくりを進める」と話す遠藤町長

 東日本大震災から間もなく10年で、住民の9割が町に戻り、にぎわいを取り戻しつつある広野町。移住者向け住宅の整備など新しいまちづくりを進める遠藤智町長は「震災から新たな10年に向けて、二酸化炭素の排出ゼロと地球温暖化防止に取り組む」と話した。

 ―震災から10年を迎えた復興の現状をどう評価しているか。
 「防災緑地を含む災害に強いまちづくりを進め、住民の暮らしを支える公設商業施設を整備した。津波で大きな被害を受けた広野駅東側地区の再生も進む。廃炉や復興関連事業で滞在する人と町民の『共生のまちづくり』に力を入れたい」

 ―移住政策にどう取り組むのか。
 「広野駅東側に主に子育て世代を対象とした新たな住宅地を整備している。町内に立地するふたば未来学園や広野小、中にも通学しやすい環境で、移住を検討する人にとって魅力となる。空き家を活用したお試し移住体験ツアーなども実施し、移住と定住の促進に取り組んでいく」

 ―新たな特産品として育てている町産バナナに期待することは。
 「GAP(ギャップ、農産物生産工程管理)の国内認証「JGAP」を取得した。良質な環境で安全・安心に栽培されていることの対外的な証明につながる。ふたば未来学園の生徒がバナナを使ったクッキーなどのスイーツを開発し、4月以降に販売が始まる。バナナによる新しい取り組みを進めたい」

 ―次の10年に向けた取り組みは。
 「地球温暖化対策としてエネルギーの転換と脱炭素化が世界の潮流となっている。町としても『ゼロカーボンシティ』を宣言した。地元の企業とともに二酸化炭素の排出ゼロと地球温暖化の防止に取り組む」