【首長に聞く】門馬和夫南相馬市長 「ロボテス」挑戦の舞台に

 
「雇用、居住環境の安定に取り組む」と語る門馬市長

 南相馬市は原町、鹿島、小高の3区で復興の進度が異なることが課題となっている。門馬和夫市長は住民の帰還と移住・定住促進に向け、「雇用、居住環境の安定に取り組む」と決意を語った。

 ―震災、原発事故からの10年を振り返り、達成することができた分野と今後解決すべき課題は。
 「津波被害については防波堤、防災林の整備が進み、ハード面で一定のめどは立った。一方、原発事故の影響で3区の復興状況に差があるのも事実だ。賠償問題や高速道路無料化の対応などで、今なお市民の気持ちが一つになれない現状がある。真の復興に向け、改めて自分の住んでいる地区の良さを見直してもらう必要がある」

 ―昨春、全面開所した福島ロボットテストフィールドを今後のまちづくりにどうつなげていくか。
 「施設を単なる実験場にとどめず、新産業に挑戦できる場としてPRする。現在、市にはベンチャー企業を中心に約40社が集まってきている。ベンチャー企業と地元企業の連携を図り、雇用創出に結び付けたい」

 ―小高区に誘致を目指している国際教育研究拠点の今後の展望は。
 「誘致に向けて市は、研究者の住環境整備などを進め、福島ロボットテストフィールドを県と共に運営してきた実績をアピールしていく。浜通り全体の復興につながる拠点になると期待している」

 ―小高区の居住者は震災前の約3割にとどまっている。市民の帰還と移住・定住促進に向けた具体的な取り組みは。
 「まずは雇用、居住環境の安定が必要。ロボット事業を核に捉えた企業誘致や市営住宅の独身者への開放、移住者を地域で支える世話人制度の仕組みづくりを進めていく」