【59市町村・この10年】小峰城跡の石垣を復元 白河市

 
文献や過去の写真を基に修復された白河小峰城の石垣=2021年2月

 葉ノ木平地区で東日本大震災による大規模な地滑りが発生、土砂が民家や車などをのみ込み男女13人が犠牲となった。市が現地に整備を進めた震災復興記念公園は2016(平成28)年に完成。関係者は毎年3月11日に犠牲者の追悼供養祭を行い、被災の記憶と教訓を胸に刻んでいる。

 公園は、災害時に住民が避難するための広場や上下水道が使えなくても利用できるトイレなど防災施設を備え、地滑りが起きた斜面近くに「復興の記念碑」が建立された。関係者は震災後、別の場所に移った住民との絆を確認する場になってほしいと期待を込める。

 市のシンボル、白河小峰城跡も被害を受けた。計10カ所、延べ約1500平方メートルの石垣が崩落。国の補助を受けた文化財災害復旧事業として修復が進められ、19年3月に完了した。文献や写真を基に石垣が本来あった位置の特定が進められ、築造された江戸時代の工法で修復。積み直した石は約1万2000個で、総事業費は約50億円に上った。