【59市町村・この10年】決壊の藤沼湖ダム復旧 須賀川市

 
7年ぶりに農業用水の供給が再開された藤沼湖=2017年4月

 農業用ダム「藤沼湖」が決壊したほか、市庁舎が全損し行政機能の分散を余儀なくされた。市は逆境を好機と捉え単なる復興にとどまらない発展的な復興を見据え、歩みを進めてきた。

 ダムの決壊で貯水されていた約150万トンの水が下流域を襲い、死者7人、行方不明者1人を出した。県は2013(平成25)年11月にダム復旧に本格的に着手。耐震性を高めたダムが造られ、17年4月に農業用水の供給が再開された。

 同5月に防災機能を強化した市の新庁舎が開庁、19年1月に図書館や公民館機能などを集約した市民交流センター「テッテ」がオープンした。20年10月に俳句をはじめとする和文化の発信や交流の場となる「風流のはじめ館」、翌11月には特撮文化の推進拠点「須賀川特撮アーカイブセンター」が開館するなど、市は文化資源を生かした一層のにぎわい創出を図ってきた。

 新年度には、東日本大震災の記録と記憶を映像や写真で後世に伝える取り組みに乗り出す方針だ。