【59市町村・この10年】復活した薬師如来坐像 磐梯町

 
よみがえった薬師如来坐像=2018年7月

 震災で震度5強を記録した町内は建物や道路、水道施設の一部に被害が発生した。2011(平成23)年10月末までは町内の宿泊施設などで、原発事故被災地からの避難者も受け入れた。

 この年、会津地域のシンボルの一つでもある磐梯山とその周辺地域が「日本ジオパーク」に認定された。原発事故の風評被害払拭(ふっしょく)や落ち込んだ教育旅行、観光誘客の回復につながると期待を集めた。

 14年には、1200年前に高僧徳一(とくいつ)が「仏都会津」の礎として築いたとされる国指定史跡「慧日寺(えにちじ)跡」のある本寺地区で、町が門前町の歴史と情緒を感じられる町並みの整備事業に着手。金堂に納める薬師如来坐像の復元に向けた有識者会議も設置した。

 本寺地区の整備は16年に国の「歴史的風致維持向上計画」の認定を受け本格化。以後、慧日寺参道沿いの古民家の修復などを進めてきた。薬師如来坐像は18年、東京芸大大学院の協力で完成、完成式典では多くの来場者が目を見張った。