豊かな自然を誇る天栄村。その自然に根ざした基幹産業である農業と観光業は、原発事故に伴う風評によって打撃を受けた。村は地道なＰＲ活動を展開するなど、風評の払拭（ふっしょく）に向けた取り組みを粘り強く続けている。

　風評払拭に加え、村は震災の教訓を生かした復旧・復興事業を推進。２０１５（平成２７）年１０月には村役場の駐車場を改修し、地下に飲料水を確保するための貯水槽を備えた広場を整備するなど、防災力強化にも力を注いできた。

　１９年５月の全国新酒鑑評会では、村内にある松崎酒造と寿々乃井酒造店の２蔵元が金賞を獲得。ダブル受賞に地元が沸いた。同年秋には羽鳥湖高原を舞台に第８９回オートキャンプ世界大会が開かれ、世界各国から集ったキャンパーたちが本県の現状を学び、友情を育んだ。

　村はコメや長ネギなど特産品づくりにも余念がない。観光誘客にも知恵を絞る。自然の恩恵を生かし、着実に歩みを進める。