【TRY・スラックライン(上)】綱渡り挑戦!ヨロヨロ...前進

 
スラックラインに挑戦する記者。ポイントは前を見て、背筋を伸ばすこと。ベルトは真ん中になるほどたゆみも大きくなり、バランスが取りづらくなる

 世界的に愛好者が増えている競技がある。その名は「スラックライン」。伸縮性のある幅5センチのベルト上で歩いたり、跳んだり、回ったりするスポーツだ。春を迎え、冬眠したままの体に喝を入れるため、県内で唯一、屋内に常設された二本松市のスカイピアあだたらを訪ねた。(本宮支局・佐藤智哉)

 用意するのは運動できる服装のみ。素足でもいい。スケートボードやスポーツクライミングなどさまざまな競技が楽しめる施設で、スタッフの丹野瑞希さん(23)に指導してもらった。

 「まずは基本からいきましょう」。高さ30センチ、長さ3メートルのベルト上を歩く「綱渡り」に挑戦だ。ヨロヨロ、ズボ。ベルトに乗って2秒も持たない。見た目以上に難しいスポーツだ。

 「下を見ると姿勢が悪くなり、不安定になりますよ」と丹野さん。「人生は綱渡り」とはよく言ったものだが、どんな状況でも前を向いて前進あるのみ。きっとそういうことだろう。

 スラックラインに人生訓も学び、ゴールに視線を置いて前を見る。「膝で上下のバランスを取るのがポイントです」。言われた通り、背筋を伸ばして前を向くと、片足立ちが安定し始めた。

 感覚をつかむと、1歩、2歩、3歩。踏み外す恐怖心を振り払うと歩ける距離も伸び、1時間ほどの練習でベルトを渡り切ることができた。

 英語で「ゆるみ」を意味するスラック。綱渡りとトランポリンを合わせた競技とも言われ、他競技の選手からも注目を集めている。

 「インナーマッスルや体幹を鍛えるのに、トレーニングで取り入れるスポーツ選手もいるんですよ」。丹野さんが教えてくれた。

 確かにそんなに動いていないが、体の中から熱くなっていた。基本を学んで満足感に浸っていると、そこに一人の少女が現れた。

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 スラックライン 綱渡りを低く短くして、誰でも楽しめるように進化させたスポーツ。2000年代後半から日本でも広まり始めた。ワールドカップも開かれている。競技としては、綱渡りのように歩いて距離を競う「ロングライン」や、跳び技や回転などを行って競う「トリックライン」などがある。