【TRY・スラックライン(下)】「跳び技」はまだ早かった...

 
安藤さん(右)のアドバイスを受けながらベルト上で座る技に挑戦する記者

 「素晴らしいお手本がいます」。二本松市にあるスカイピアあだたらのスタッフ丹野瑞希さん(23)から紹介された一人の少女。その人は全日本チャンピオンだった。(本宮支局・佐藤智哉)

 偶然出会った本宮市の安藤雫(しずく)さん(12)=本宮二中1年=は昨年、オンラインで開かれたスラックラインの全日本選手権大会小学生の部で優勝した実力者だった。

 最高のお手本が現れてくれた。スラックラインの基礎「綱渡り」をクリアし、生意気にも少し物足りなさを感じ出したころ。動画のように格好良くベルト上で跳ねたり、回ったりしてみたい。

 次は技を繰り出す「トリックライン」といわれる種目に挑戦だ。安藤さんのお手本にじっと見入る。地上約1メートルの高さに張られたベルトにさっそうと乗ると、跳ね始めた。

 跳ね上がる高さは身長を超える。空中で回ったり、止まってポーズを取ったり。まるでベルトの上で生活しているように変幻自在だ。お見事。自然と拍手をしていた。

 記者も見よう見まねでやってみた。スタッフの丹野さんからの助言は「綱渡りと一緒。体は正面を向き、目線も前を向いて一定にすること」。お尻をベルトに乗せ、片足で地面を蹴り、跳ねてみた。

 しかし、ベルトからお尻が離れない。バランスが悪く、ベルトが左右に少し揺れるだけ。足の力だけで跳ねようとしたがバランスを崩し、ベルトから転げ落ちた。跳ねて立つのは至難の業だ。お尻も痛い。

 「最初は私もそうでした。でも練習すれば跳べるんです」。全日本チャンピオンからの優しい言葉が身に染みる。スラックラインを始めて約2年という安藤さん。練習を重ね、今では50種類以上の技ができるようになったそうだ。

 記者にはもう少しの努力が必要だと悟り、跳び技は今回、潔くギブアップした。ただ跳ねる技や回転技以外にも楽しみ方は多い。ベルト上でエクササイズをしたり、ヨガをしたり。安藤さんをまねて「ヨガ風」に立っている状態から座ったり、片足立ちのポーズをした。跳ねなくてもできる。初心者にはちょうどいい技だ。

 「誰でも楽しめる」といわれるスラックライン。技を競うだけでなく、レベルに合わせた遊び方が数多くあるからなのだろう。競技人口が増え続ける理由がよく分かった。

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 スカイピアあだたらアクティブパーク スラックラインをはじめ、スケートボード、スポーツクライミングの3種目が体験できる屋内複合施設。3種目体験コースは小中学生1000円、高校生2000円、大人3000円。問い合わせは同施設(電話0243・24・5066)へ。