【TRY・エクストリーム温泉(下)】登山の先に...いい湯だな

 
秘湯に入浴する記者(左)とガイドの布引さん

 秘湯と登山体験を両方楽しめる猪苗代町のガイドツアー「エクストリーム(究極の)温泉」も、いよいよ大詰め。安達太良山の西側にある中ノ沢、沼尻両温泉の源泉「沼尻元湯」の周辺エリアを目指し、登山すること約1時間。源泉と川の水が交わる目的地は目前だ。(猪苗代支局長・伊藤雅将)

 湯加減自然任せ、泉質とろみ

 天然の露天風呂がちょうどいい湯加減かどうかは「川の水量次第になる」と、ガイドをしてくれた沼尻温泉のカフェ&アクティビティ「ノーウェア」店長の布引雄太さん(39)が教えてくれた。

 この日は晴天だったが、前日はずっと雨が降っており、川の水は多そう。布引さんお薦めの秘湯スポットに到着。お湯にそっと手を入れてみると温かいので安心した。

 脱衣所がないため岩場の陰で水着に着替えた。登山道を歩いて体は汗ばんでおり、運動後すぐに温泉に入れるようなうれしさもある。風が冷たかったので一気に飛び込んだ。

 これはいい湯だな...。いや、ちょっとぬるめか。普段なら40度くらいの快適な温度らしい。泉質は一般の温泉よりも肌にまとわりつくようなとろみを感じた。

 「天然ジャグジー」水圧、強!

 淡く青みがかった色もきれいだ。近くに岩場、遠くに新緑の絶景もいい。岩の割れ目から湯が流れ落ちる場所を指さして「天然ジャグジーもあります」と布引さん。しかしこれは水圧が強すぎて近づけず、ジャグジーというより滝行のようだった。

 ツアーは「猪苗代の新たな魅力を伝えたい」との思いから始まったが、同時に別の目的も含まれる。源泉地は温泉街にとって重要な場所であり、硫化水素ガスが発生する立ち入り禁止の危険地帯でもある。

 しかし、近年の秘湯ブームのため無断で源泉地に近づく人が増えており、この日もガイドなしでエリア内に入る若いカップルや外国人の姿があった。「源泉地の環境を守り、安全に楽しんでもらうためにもツアーを成功させたい」と布引さんは話す。

 ともあれ、いい体験だったと満足して帰宅したのだが、本当に驚いたのは翌日のことである。水着やタオル、帰路で身に着けた衣類は硫黄の臭いがするため、他のものと分けて柔軟剤もたっぷり入れて洗濯した。ところが臭いは全く消えない。いずれも使い古しのものなので惜しくはなかったが、源泉の強烈な威力を思い知った。そして体への効能も相当あるはずと思い、何だか急に体が軽くなったような気がした。

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 エクストリーム温泉ツアー 開催期間は11月30日までを予定。所要時間は往復で約3時間30分。ガイド料金(保険料込み)は、2人参加で1人当たり1万3000円、4人参加で1人当たり9250円。対象は小学生以上。問い合わせはノーウェア(電話0242・93・7081)へ。6月は土曜、日曜日のみの営業。