【TRY・楢葉町スマートライフステイ(下)】10分多く体動かそう

 
ヨガを初めて体験する記者

 Jヴィレッジに泊まりながら、旅行気分で健康増進を図るプログラム「楢葉町スマートライフステイ(SLS、宿泊型新保健指導)」の体験会は、食べて終わりではない。ウオーキングやヨガにトライした。(勿来支局長・本田武志)

 場所は陸上トラック。顎を引きつつ、目線はやや高く、遠くを見る。背筋を伸ばし、肩甲骨の動きを意識しながら腕を振り、記者がウオーキングする。

 「おっ。いい姿勢ですね」。元プロ野球DeNA投手で、プログラムの健康運動を担当する楢葉町スポーツ協会の赤間謙さん(30)=同町出身=に褒められ、記者も思わず頬が緩む。

 ヨガでは自らの体幹の弱さを実感した。「猫のポーズ。余裕だぜ」。しかし、片方の足で立ったヤシの木のポーズでは、体がすぐにぐらつき、上げた両手を左右に揺らせない。「こんなはずではない」と思いながらも、現実を受け入れた。

 プログラムでは、食事の栄養や運動に関する座学も行われた。そこで学んだのは「+10(プラス・テン)」という考え方。1日に10分多く体を動かすだけでいいなら、仕事が忙しくても、無理なく続けられるかもしれない。

 最終日には、自然豊かで勾配があり、よく整備された木戸川渓谷をウオーキング。楢葉町の魅力、そしてふくらはぎや太ももの疲労を感じながら歩いた。当初、しぶしぶトライしたはずの記者も、すっかり楽しんでいた。

 ただ、まだ問題がある。日常生活に戻ってからも健康的な食事や運動を続けられるのかが重要だ。この問題を乗り越えるため、プログラムのまとめでは参加者が「行動宣言」を行った。記者の宣言は〈1〉1日10分歩く〈2〉減塩の食生活〈3〉食事の際、30回かむ―の3点だ。

 2日間のプログラムを終えて数日。スーパーで食品を買う際、摂取カロリーだけでなく、塩分量も意識するようになった。よくかんで満腹中枢を刺激することも続けている。

 しかし「トライの記事、あしたまでに欲しいんだ」とデスク。全く記事を執筆していなかった記者は慌てて、早くも10分のウオーキングに黄色信号がともった。そんな時、赤間さんの言葉を思い出した。「休む勇気も大切。目標設定を下げてもいい」。きょうは歩かないで書く。でも、あしたは歩く。そうやって気長に健康長寿を目指す。それが記者のスタイル。たった2日間で、意識が変わったかもしれない。

          ◇

 +10(プラス・テン) 今より10分多く、毎日体を動かすこと。仕事や家事などの合間に、ウオーキングやストレッチなどを行い、生活習慣病のリスク低減やストレス解消、健康長寿などにつなげる。+10を積み重ね、18~64歳は1日60分、65歳以上は1日40分、体を動かすことが目標とされている。