【TRY防災士(上)】災害からみんな守る 資格取得へ課題や講座

 
テキストを手に勉強する記者。約370ページにも及ぶ教本やリポートの課題など早くも記者の心が折れそうになる

 民友初の防災士へ―。社会部に配属された昨年6月から事件や事故などを取材している。日々の業務を通じて「有事で仕事をする際、一県民としても役立つスキルはないか」という思いが募っていた。調べてみると避難所などで活躍し、防災の啓発などにも取り組む「防災士」という資格を知った。「まさに、これだ」。直感を信じ、記者の挑戦が始まった。(報道部・高橋由佳)

 防災士は、阪神大震災を機に2003(平成15)年に創設された民間資格だ。本県でも東日本大震災以降、地域防災の重要性とともに注目を集めている。活動の基本理念は「自助」「共助」「協働」だ。

 具体的には、災害現場で避難所運営を行う自治体のサポートや復旧ボランティアなどに取り組む。また、日ごろの訓練や防災イベントの運営など活動の場は多岐にわたる。

 資格取得にはリポートの提出や2日間の講座参加、「防災士資格取得試験」で基準点以上を獲得したり、実技講習を受講したりと道のりは険しそうだ。

 昨年9月、申し込みを済ませると防災士研修センターから約370ページにも及ぶ教本やリポートの課題などが送られてきた。早くも心が折れそうになる。

 ただ、教本を開くと、地震や風水害などの災害発生の仕組みや、ハザードマップの活用方法など新たな発見が多くあった。

 特に「地域防災と多様性への配慮」編では、子どもや高齢者、障害者、日本の災害に慣れていない外国人ら「災害時要配慮者」に対し、アレルギーや宗教・言語、やわらかい食事に配慮したケアが必要などと書かれており、目からうろこが落ちる思いがした。

 仕事終わりにテキストを開き、眠たい目をこすりながらなんとかリポートを仕上げて提出した。そして、休日を利用して講座にも参加した。

 その後の資格取得試験も受験し、なんとか一発で基準点を超えることに成功した。こんなに勉強したのは学生以来だが、その代わりに充実感を覚えていた。あとは実技講習だ。より実践的な学びが記者を待っていた。

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 防災士

 1995(平成7)年の阪神大震災を教訓に、2003年にNPO法人日本防災士機構が創設した民間資格。機構によると、2月末現在までに全国で22万6120人が資格を取得。このうち県内は3154人が取得している。