【TRY防災士(下)】命救う一員の仲間入り 繰り返す大切さ痛感

 
模擬人形で心肺蘇生法を学ぶ記者。想像以上に体力を使うため繰り返しの練習でへとへとだ

 民友初の防災士を目指す記者の挑戦は昨年12月、佳境を迎えていた。テキストを読み込んで何とかリポートを提出し、2日間にわたる研修。そして資格取得試験も乗り越え、残るは「救命救急講習」のみだ。(報道部・高橋由佳記者)

 これまでの座学とは違い、より実践的な学びだ。「自分にもできるだろうか」。不安と、実践して学べる機会への期待を胸に会場へ向かった。

 実は新型コロナウイルス感染拡大による影響は、防災士の資格取得にも及んでいる。本来ならば、最寄りの消防署や日本赤十字社などが開く救命救急講習を受講し、修了証をもらうことができるのだが、新型コロナの影響でそもそも講習を中止していることが多い。

 そこで、防災士に関わる取材で以前お世話になった日本防災士会と県防災士会で理事を務める藁谷俊史さん(54)に連絡し、救命救急講習の指導をお願いした。

 講習の内容は、心肺蘇生法やAED(自動体外式除細動器)操作などの救命措置。「きょうは、人の命を救うための訓練です」と藁谷さんから言葉をもらい、気を引き締めて受講した。

 災害時だけではなく、日常生活の中で突然けが人や病人に遭遇するかもしれない。模擬人形を使い講習を受講。定期的に練習しないと、いざという時に動くことができないと痛感させられた。

 修了後、藁谷さんは防災士の心構えを教えてくれた。「活動は第一線の災害現場に限らず、日常の中でできることから取り組むことが大事。地域防災のリーダーとなり、できることから取り組めば地域の防災と減災につながります」と激励の言葉をもらった。

 全ての課程を終えて3カ月がたった今月、日本防災士機構から待ちに待った防災士認証状と防災士証が届き、取得までの道のりを思い出した。そして、今後も防災の知識を増やし、地域に伝えていくことが大事だと決意を新たにした。取得がゴールではなく、スタートラインなのだ。