【ウェブデザイナー(上)】「クリック」したくなる広告に

 
手本を基に完成形のイメージを膨らませる記者(左)

 ウェブデザイナーに必要なスキルを体験してみませんか―。記者の元に1通のメールが送られてきた。ウェブデザイナーは近年、注目を集めていると聞いたことはあるが、どんな仕事なのか。興味が湧き、挑戦を受けてみることにした。(郡山総支社・千葉あすか)

 「センスは技術、学ぶもの」

 訪れたのは、郡山市並木のウェブ制作会社「ハタフル」。挑戦を決めたものの、記者は美術のセンスも制作技術も持ち合わせていない。パソコンでできることといえば、文字を打ったりすることくらい。訪問して真っ先に、不安な胸の内を明かした。「センスがなくても大丈夫ですか」。すると同社のウェブデザイナー養成教室を担当する鈴木茜さん(35)は「センスは技術。技術は学ぶもの。何も心配いりません」と笑顔を見せる。その言葉に少し勇気が湧いた。

 ウェブデザイナーが制作するのはウェブサイトのデザインや交流サイト(SNS)用投稿画像など、多岐にわたるという。在宅で仕事ができるため、近年は自分のライフスタイルに合った働き方が実現できると注目を集める。スキルを身に付ければ、フリーランスとして働く時間や場所も自由に選べ、何よりパソコン一台でできるのが魅力的だ。

 今回記者に与えられた課題は「本県のご当地グルメを購入できるページへ誘導するためのSNS広告バナー制作」。和風・伝統を感じさせる雰囲気や、自宅で食べられるグルメを探している人などが対象として想定される。同社のウェブデザイナー若色友里恵さん(33)から指導を受け、早速パソコンで作業開始、と思ったが、時期尚早。「まずは誰に届けるか、ターゲットは誰かなど目的を整理しましょう」と「待った」がかかった。やはり相手をイメージし、それに合わせたものを制作することが肝心になる。勉強になった。

 デザイン制作の流れは大きく五つ。〈1〉目的の整理〈2〉ネタ出し〈3〉レイアウト〈4〉ソフトでデザイン制作〈5〉フィードバックと修正―だ。「クリックしたくなるデザインに仕上げるのがウェブデザイナーの仕事です」と若色さん。手本を頼りに、ウェブページのターゲットやデザインイメージなどを確認する。

 どの写真をどのように組み合わせようか、和風なら赤と金の色の組み合わせがいいかな...。若色さんと共に考えを巡らせ、少しずつ完成形のイメージが湧いていた。

 「それでは実際にパソコンを使って制作の流れを体験してみましょう」。ついに来た。一気に緊張が走る。「Adobe XD」「Illustrator」という聞き慣れない言葉に動揺しながら、いよいよ制作だ。

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 「ハタフル」 2017(平成29)年に設立したウェブ制作会社。「地方の旗振り役に」とウェブ制作のほか、広告や冊子のデザイン、売り上げ向上や販路拡大の戦略立案・実行など多岐にわたる事業を展開し、地域のウェブ戦略を支援する。地域のIT人材を育成しようと、4月にウェブデザイナー養成教室「ハタフルアカデミー」を開校した。

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 記者への挑戦募集中

 企画「TRY」では、本紙記者にチャレンジしてほしいこと、体験を通して魅力や苦労を知ってほしいことを県民や企業・団体などから広く募り、記者がその"挑戦"を受けて体験、掲載していきます。

 申し込み、問い合わせは報道部にメール(hodo@minyu-net.com)で。はがきでの申し込みは郵便番号960―8648 福島市柳町4の29 福島民友新聞社報道部「TRY係」へ。氏名(企業・団体名)と住所、電話番号、挑戦してほしい内容を明記してお送りください。