【ケイビング(洞窟探検)(上)】初心者でも楽しい冒険

 
入水鍾乳洞へのケイビングに挑む記者。足場が悪く、慎重に進む

 「ケイビング(洞窟探検)に挑戦してみませんか」。国の天然記念物に指定されている入水(いりみず)鍾乳洞(田村市)を管理する田村市滝根観光振興公社から提案があった。普段はインドア派でケイビングは未体験の記者だが、話題になっていることは知っている。非日常を味わいたく、挑戦を受けることにした。(棚倉支局長・横田惇弥記者)

 入水鍾乳洞の歴史は古く、1927(昭和2)年に山林の伐採作業中に偶然発見されたのが始まりとされる。案内役を務めてくれる同公社係長の西山政義さん(43)にあいさつをすると「入水鍾乳洞は全長900メートルで本格的な洞窟探検ができます。ケイビングを体験できる場所は全国でも少なく、県内外から家族連れはもちろん、若いカップルや動画配信者なども訪れますよ」と教えてくれた。

 洞窟の中は狭く、かがんだりぬれたりすることから、ショートパンツやサンダルを貸し出している。早速着替えて、いざ冒険へ。コースは初心者でも楽しめるように歩道が整備された全長約150メートルのAコースと、ほとんど手が加えられていない全長約450メートルのBコース、明かりがなく案内役が必要な全長約300メートルのCコースの3種類。まずはAコースに挑む。洞窟内は肌寒く、「これが夏だったら涼しいんだろうな」と思わずにはいられなかった。

 暗闇の中、整備された明かりを頼りに進んでいく。歩道は滑りやすく、足を取られそうになるため、両脇の手すりが欠かせない。少し慣れてきたころ、ふと何かが顔の前を横切った。普段はあまり見ることのないコウモリだ。思わぬ生物との遭遇に「こんなこともあるのか」と驚いた。

 未知にワクワク、まだ序章・・・ 

 20分近く歩くと「ゴーッ」という音が聞こえてきた。「行者の滝といって『うつくしまの音30景』にも選ばれている音ですよ」と西山さん。多量の水が勢いよく流れ、豪快な音が洞窟内に響く様子に圧倒された。

 スタートから約30分。無事にゴールにたどり着いた。「大変だと聞いていたが、思ったほどではなく、観光気分で楽しいな」。そう感じ「では、Bコースに向かいますか」という西山さんの言葉に「次はどんな楽しいことが待っているのか」と心を躍らせた。だがこの後、本当の意味で自然の過酷さや偉大さを知ることになるとは、この時点で思いもしなかった。

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 ケイビング アウトドアスポーツ感覚で、自然の洞窟(cave)や鍾乳洞を探検すること。耐水性のある服装やヘッドライトの明かりなどを頼りに、岩が飛び出ていたり、水の多い洞窟内を進んでいく。県内では入水鍾乳洞(田村市)やあぶくま洞(同)で体験できる。

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 記者への挑戦募集中

 企画「TRY」では、本紙記者にチャレンジしてほしいこと、体験を通して魅力や苦労を知ってほしいことを県民や企業・団体などから広く募り、記者がその"挑戦"を受けて体験、掲載していきます。

 申し込み、問い合わせは報道部にメール(hodo@minyu-net.com)で。はがきでの申し込みは郵便番号960―8648 福島市柳町4の29 福島民友新聞社報道部「TRY係」へ。氏名(企業・団体名)と住所、電話番号、挑戦してほしい内容を明記してお送りください。