【ケイビング(洞窟探検)(下)】過酷な道、乗り越え達成感

 
天井が低い場所で四つんばいになりながら進む記者。足は水浸しになっている

 「ここからは人の手がほとんど入っていないので、頭や足を岩にぶつけないように気をつけてください」。案内役を務めてくれる田村市滝根観光振興公社係長の西山政義さん(43)がアドバイスをしてくれた。「危ないといってもきっと大丈夫だろう」。Aコースを経験し、気持ちが大きくなっていた。(棚倉支局長・横田惇弥記者)

 スタート早々、深水洞という水が膝上まである場所があった。驚いたのは水の冷たさだ。水温は約10度と聞いていたが、素足にサンダル姿のためか、水の冷たさが肌に直接伝わり、それ以下に感じる。進むにつれて、足の感覚は「冷たい」から「痛い」に変わっていった。

 さらに進むと、天井が低くなってきた。身長約170センチの記者が、かがまないと歩くことができない。ショルダーバッグはぬれ、手にしていたカメラを岩にぶつけそうになるなど、最小限にしたつもりの荷物が邪魔に感じ「なぜ持ってきてしまったのか」と後悔した。

 天井の鍾乳石や岩に何度も頭や体をぶつけながら前へ進むと、1番の難所といわれる「胎内くぐり」にたどり着いた。狭い通り道を進む様子が、赤ん坊が生まれてくる様子に似ていることから名付けられたという。「体をひねりながら入ってみてください」と西山さんのアドバイスで前に進もうとするが、幅が狭く思うように進めない。「こんなに大変なのか」と思わずつぶやいてしまった。

 自然の魅力「また来たい」

 スタートから約30分、ようやく終着点の「カボチャ洞」にたどり着いた。痛みが残り、冷え切った体は入水鍾乳洞近くにある「星の村ふれあい館」の銭湯で癒やすことができるという。初挑戦のケイビングは大変な思いをしたものの、洞窟内を探検した達成感に加え、自然の壮大さやすごさなどを感じることができた。休止中のCコースにも、いつかは挑戦してみたいと思えたほどだ。

 感慨に浸っていると、西山さんが声をかけてきた。「帰りは今通ってきた道をそのまま戻りますよ」。感慨に浸るのはまだ早かった。

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 星の村ふれあい館 入水鍾乳洞付近にある田村市の宿泊施設。冬季の入水鍾乳洞への入洞は同館で受け付けている。磐越道小野インターチェンジから車で約20分。日帰り入浴は大人500円、子ども250円。利用時間は午前8時30分~午後9時(最終受け付けは同8時30分)。入洞料などの問い合わせは同館(電話0247・78・3100)へ。

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 記者への挑戦募集中

 企画「TRY」では、本紙記者にチャレンジしてほしいこと、体験を通して魅力や苦労を知ってほしいことを県民や企業・団体などから広く募り、記者がその"挑戦"を受けて体験、掲載していきます。

 申し込み、問い合わせは報道部にメール(hodo@minyu-net.com)で。はがきでの申し込みは郵便番号960―8648 福島市柳町4の29 福島民友新聞社報道部「TRY係」へ。氏名(企業・団体名)と住所、電話番号、挑戦してほしい内容を明記してお送りください。