【冬の万世大路(上)】氷点下3度でも体熱い...雪道歩きは甘くない

 
雪の旧道「万世大路」を歩く記者。スノーシューを装着しても、うまく歩くことが難しい

 雪の季節はスノーボードに夢中になっている。他にも冬にしかできない遊びがないか探していたところ「(福島市にある廃トンネルの)二ツ小屋隧道(ずいどう)の氷柱を見に行きませんか」といいざかサポーターズクラブ(福島市)から声をかけられた。雪道を歩くアクティビティーが楽しめると聞き、早速向かった。(報道部・小山璃子)

 集合場所の福島交通飯坂温泉駅で出迎えてくれたのは、同クラブ理事の佐藤耕平さん(47)とガイドの岡崎真人さん(39)。今回は福島市と山形県米沢市にまたがる栗子峠の旧道「万世大路(ばんせいたいろ)」の二ツ小屋隧道に向かい、巨大氷柱を見に行く。「雪道を歩くので防寒防水対策を十分にしてください」と佐藤さんがアドバイスしてくれた。

 飯坂温泉駅から国号13号の東栗子トンネル前まで車で行き、雪の上を歩行する「スノーシュー」を足に装着していざ出発した。見渡す限り白銀の世界。積雪1メートルを超える雪道を歩くたびに「ズボッ」と膝上まで体が沈む。スノーシューを装着していても、うまく歩くことができない。斜面を1メートル上るだけでも「ゼーゼー」と息が上がる。雪が降り、氷点下3度の中でも、体が熱くなった。

 スタートから15分ほどがたち、歩くのにも慣れてきた頃、空腹に襲われた。あめ玉で空腹をしのぐが、喉の渇きは我慢できず「水を飲みたいです」と告げると、岡崎さんが温かいお茶を差し出してくれた。「寒くても汗をかけば脱水症状を起こしますよ」。雪山に対する準備の甘さを後悔した。

 どれだけ歩いても、麓にあったスキー場のリフト以外、雪景色が変わることはほとんどない。「ここではぐれたら、一人で麓まで戻れるかな...」。不安を覚えた。

 途中、数メートルの高さがある枝に、大量の枯れ葉が集まった木を見つけた。「クマが餌を求めて登った跡です」と岡崎さん。「生き物たちのすみかにお邪魔しているんだな」と思い、手の加えられていない自然の中にいることを実感した。

 雪の斜面を上ること約30分。平らな道が現れた。岡崎さんが「この道が万世大路です」と指を差す。目指す二ツ小屋隧道まであと少し。新雪の万世大路をさらに前進していく。

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 万世大路 福島市と山形県米沢市を結ぶ区間で1876(明治9)年頃に着工。当時日本最長の「栗子隧道(トンネル)」を整備するなど、大規模工事を進めて、81年に開通した。昭和初期に改良されたが、国道13号の整備に伴い昭和40年代に廃道となった。

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