【冬の万世大路(下)】氷の神殿に見とれる つらら注意、険しい雪道制覇

 
地面に落ちていたつららを持つ記者。とても重たくて思わず声が出た

 福島市の廃トンネル「二ツ小屋隧道(ずいどう)」の巨大氷柱を見るため、福島市と山形県米沢市を結ぶ栗子峠の旧道「万世大路(ばんせいたいろ)」を歩く記者。雪深い山を登り、さらに前進する。(報道部・小山璃子)

 いいざかサポーターズクラブ(福島市)のガイド役、岡崎真人さん(39)の後をひたすら付いていくこと約1時間。レンガ造りのモダンな門柱が印象的なトンネルがようやく見えた。このトンネルの中に巨大氷柱がある。雪の上を歩くため足に装着した「スノーシュー」を外し、ヘルメットをかぶって、いざ中へ―。

 トンネル内は日が差し込まないため、雪山より薄暗く、寒い。コンクリートの壁面に、天井が一部崩落している。少し奥に進むと、お目当ての巨大氷柱が現れた。

 天井の割れ目から滴り落ちた雪解け水が厳しい冷え込みによって凍り、つららへと形を変えている。それがいくつも並び、天井から地面の高さまでつながって柱になっているものもあった。暗いトンネル内に浮かび上がる白い氷の柱。幻想的な雰囲気に包まれたトンネル内の自然の神秘は、まるで「氷の神殿」のようだ。

 「氷の柱には絶対に触らないでください」と岡崎さん。さらに、つららの下を歩かないよう念を押された。つららが頭や体に当たると、けがをするからだ。奥へ進むには、つららの間を歩かなければならない。たった数メートルだが、地面は凍っていて、スケートリンクのように滑る。滑らない靴を履いているとはいえ、つららにぶつからず歩くのは至難の業だ。全神経を研ぎ澄まし、壁を伝いながら歩いた。

 トンネル内の探索を一通り終え、地面に落ちていたつららを持ってみた。「うわぁ!」。つららはバーベルのように硬くて重い。呼吸を整え、つららを持つ手の位置を変える。「よいしょー!」。もう一度腰まで引き上げた。気分は重量挙げの選手だ。

 雪道を歩き、自然の神秘を満喫した今回の挑戦。山歩きは遭難などの危険を伴うが、知り尽くしたガイドと共に探索すれば、安全安心に楽しめる。「非日常を楽しむため、また山を登りに行こう」。そのときは、この日のために買った登山用の靴を履いていきたい。

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 いいざかサポーターズクラブ 福島市飯坂町のNPO法人。市北部や飯坂温泉街の新たな観光資源を創出し、地域活性化を図っている。季節を楽しめるアクティビティー(活動)も実施していて、冬の万世大路の見学ツアーも行っている。活動内容などに関する問い合わせは同クラブ(電話024・529・6125)へ。

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