【水行】冷たい滝に打たれて祈る!!! 邪念流し、気持ちすっきり

 
滝に打たれる記者(右)。水の勢いと冷たさに思わず背中が丸まってしまった

 福島市飯坂町の中野不動尊で2月下旬から3月上旬に行われる「歳祭り」の期間中に、滝に打たれて心身を清め、無病息災や家内安全などを祈る「水行」が行われる。「水行に挑戦してみませんか」。歳祭りの関係者からそんな提案があった。寒いのは苦手だが、何事も挑戦だ。快諾し、今後の健康と安全を祈願するため中野不動尊に向かった。(報道部・津村謡)

 参加したのは今年2回目の水行が行われた2月28日。福島市の午前9時の気温が3度という寒さの中、記者を含め20~80代の男女33人が参加した。まずは更衣室で専用の白装束に着替える。用意されていたのは頭巾に行衣、足袋、わらじなど。初めて着るものばかりだ。ぎこちない手つきで着替えをした後、本堂へ向かう。長さ約2・4メートルの棒状の梵天(ぼんてん)を滝の近くで奉納し、いざ、滝つぼへ。

 「ドドドッ」―。約10メートルの高さから勢いよく水が落ちてくる様子を目の前にすると、足がすくんだ。「それではお入りください」。僧侶の言葉に覚悟を決め、入水する。「冷たいっ」。水深約50センチの滝つぼに漬かった足が氷のように固まる。どうにか足を動かし、入水者たちで輪を作った。「観自在菩薩(かんじざいぼさつ)、行深(ぎょうじん)...」。全員で般若心経を唱える。

 続いて体慣らしのため「わー!」と声を上げながら全身に水をかけ合った。ここまで約5分。不思議なもので、少し冷たさに慣れてきた。

 そして2人一組となり、滝に打たれる。落ちてくる冷水を頭から受けると、水の勢いと冷たさに思わず背中を丸めてしまった。それでも必死にお経を唱え、一心に祈りをささげた。時間にして20秒ほど。多くを考える余裕はなく、あっという間だった。

 祈りを終えて滝つぼの外へ出ると、足は太ももから指先まで冷え切って感覚がなくなり、肌は赤くなっていた。参加者全員で更衣室近くの簡易的な風呂場に行き、湯を全身に浴びる。「あぁ、温かい...」。待ちに待った瞬間だった。

 記者の心の中にあった邪念のようなものはなくなり、すっきりした気持ちになっていた。「必死に願いを込めているから、寒さなど感じないよ」と参加者最高齢の80代男性。真剣な思いがあるからこそ、厳しさにも立ち向かえる。記者がこれから直面するであろう困難も、この日のことを思い出し、乗り越えていきたい。そして、多くの人に健康と安全が訪れますように...。

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 中野不動尊 梵天をくわえたカモシカに導かれた恵明道人(えみょうどうにん)が現在の山に入り、山神のお告げで約840年前に開いたと伝えられている。昔から「中野のお不動様」として多くの人が参詣しており、江戸以北では「日本三不動の一つ」といわれてきた。

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