【ブレイキン(下)】「動」と「静」...踊りにメリハリ

 
橋本さんの補助なく、今回一番の見せ場のポーズができるようになった記者

 「ここからギアを上げていきますよ」。ブレイキンの基本を教えてくれる指導役の橋本耕太さん(32)の目つきが変わった。準備体操ですでに疲労困憊(こんぱい)の記者。何とかダンスを形にするため、必死に体を動かしていく。(報道部・三沢誠)

 まずは基本のステップだ。右足と左足を交互に前に出し、同時に胸を張る。橋本さんの動きを見てイメージトレーニングはばっちりだ。しかし、いざ挑戦してみると上半身と下半身の動きがばらばら。これではダンスとは言えない。

 そんな姿を見た橋本さんからすかさずアドバイスが飛ぶ。「大きな音を出して『自分は強い』とアピールしてみてください」。言われた通り全身を使って表現してみた。それらしくなってきた気がする。

 気持ちが乗ってきたところで企画最大の見せ場「チェアー」に挑んだ。頭と両手を床につけ、足を浮かせてフリーズする技だ。橋本さんによると、チェアーを取り入れることで、動きの激しいダンスにメリハリがつくという。やってみると体重を乗せる右腕に相当な負担がかかる。体はふらつき、うまく止まれない。橋本さんの「体をもう少し丸めると力が入りますよ」の助言を参考に再びトライ。何とか1、2秒は停止できるようになってきた。

 その後もバックステップなど一通りの基本を教わった。仕上げに向けて一つ一つの技の精度を高めていく。時間を忘れて約1時間、ひたすら練習に打ち込んだ。


 いよいよ総仕上げ。音楽に合わせて約30秒のダンスにトライした。しかし、これが難しい。技を覚えるのに精いっぱいな記者は橋本さんから後れを取ってしまう。リズムにも全く乗れていない。「音楽に合わせて体を揺らすだけでも雰囲気出ますよ」と橋本さん。「そういう表現の仕方もあるのか」と、それっぽく踊ってみる。

 鏡越しで見る自分の動きは橋本さんとは程遠いが、何とか通しで踊ることができた。橋本さんと顔を見合わせ、思わずガッツポーズが出た。

 「教科書はあっても正解はありません。だから面白いんですよ」。橋本さんの言葉に感銘を受けた。周りに合わせることが美徳とされる日本だからこそ、個性を発揮できるブレイキンにはまる人が多いのだろう。来夏のパリ五輪を控え、盛り上がりを見せるブレイキン。「みんなで楽しく踊り合えればどれだけ楽しいか」。翌日から激しい筋肉痛に苦しむとはつゆ知らず、競技のさらなる普及を願い、晴れやかな表情でスタジオを後にした。

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 ダンススタジオ「LIFE Cr.DANCE&Fit.FLEUVE(ライフ クリエイト ダンス アンド フィットネス フローヴ)」 福島市浜田町のダンススタジオ。ジャズやヒップホップ、ブレイキンなど、さまざまなジャンルのクラスがある。プロダンサーを講師に招き、子どもから大人まで約60人の受講生が日々レッスンに打ち込んでいる。初心者大歓迎。問い合わせは紺野美希和代表(電話090・1938・5276)へ。

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 企画「TRY」では、本紙記者にチャレンジしてほしいこと、体験を通して魅力や苦労を知ってほしいことを県民や企業・団体などから広く募り、記者がその"挑戦"を受けて体験、掲載していきます。

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