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ふくしま里山物語
 かつて、人々の生活と密着し暮らしを支えてきた県内里山。燃料や農業に必要なものを得るために手を入れてきた。変わりつつある現在の里山の風景、森づくり、行事など、人と森のかかわりとともに、そこに息づく生物を紹介する。
【 7 】 ゼンマイもみ
庭先に楽しげな声響く

ゼンマイもみ

庭先に広げられたむしろの上でゼンマイをもむ佐藤さん(左)。親せきや手伝いの女性たちとともに作業は1日中続く=只見町入叶津

 浅草岳のふもと只見町入叶津の田植えは早い。「ぜんめぇおり(ゼンマイ採り)」の季節になるからだ。かつては、田植えが終わると一斉に山に生活の場を移し、ゼンマイを“折った”。畑で収穫するようになった現在も、同地区の庭先では「ぜんめぇもみ」をする女性たちの楽しげな声が聞こえてくる。

 繰り返し手間かけ作業

 佐藤クニヨさん(60)宅では、庭を埋め尽くすように天日干しのゼンマイが広がる。商品の干しゼンマイにするには、天気の良い日で3日かかる。その間、手伝いの女性らと「もみ」「干し」を1日中、繰り返す。
 クニヨさん自身も6年ほど前まで、夫の茂さんとともに山に入っていた。只見は全国有数の豪雪地帯、しかも山はそそり立つような急な斜面を持つ。残雪の中、沢を何本も越え奥山へと向かうのは命懸けだったという。
 ビニールシートを掛けた三角屋根の小屋を作り、そこを拠点にゼンマイを折る。山での生活は1カ月から2カ月近くにも及ぶ。里から運んだ食料が尽きるとイワナやウサギを捕ってしのいだ。「原始生活だよ」とクニヨさんが笑った。
 消費量が減り、安い中国産が輸入されても入叶津の女性たちの顔は明るい。雪が育て、手間をかけたゼンマイが一番うまいことに自信を持っているからだ。
(写真と文・矢内靖史)
   ゼンマイ 
  ゼンマイ科の多年生シダ植物。山の湿ったところに生える。食用になる若芽は綿状の毛に覆われ、丸まっている。
 
 

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