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かつて、人々の生活と密着し暮らしを支えてきた県内里山。燃料や農業に必要なものを得るために手を入れてきた。変わりつつある現在の里山の風景、森づくり、行事など、人と森のかかわりとともに、そこに息づく生物を紹介する。
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【 17 】 カジカ
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幼い頃の原風景復活へ
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大きな頭と口がユーモラスなカジカ。清流を代表する魚だが、河川環境の変化で激減している=鮫川村役場付近
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子どものころ、ガラス箱で川底をのぞき込み、やすでカジカを突いた思い出も、今は記憶のかなた。斎須寛一さん(63)=鮫川村=は、自らの原風景であるカジカのいる鮫川を取り戻したいと活動している。
斎須さんが代表を務める「鮫川にカジカを呼び戻す会」の会員は9人。3年前から地元の小学生とともにカジカの放流を行っている。「今はカジカを見たことがない子どもがほとんどです」。中には触ることができない男の子も。
鮫川にカジカがいなくなったのは、「昭和30年代後半から田んぼで使われた強力な農薬の影響でしょう」と斎須さん。白い腹を見せて死んでいるカエルやドジョウを何度も見ました」
まず餌となる川虫から
2006(平成18)年に行った水質調査で、明らかな水質の改善がみられたことから、カジカの生息する鮫川を取り戻そうと決意。しかし、問題は山積みだった。
餌となる川虫が生息するためには、川底に砂が積もらないようにしなければならない。河川工事の際には、大小の石を残すよう要望、流れにも気を配る。
「いなくなったものを復活させるのは大変です」と斎須さん。鮫川にカジカが定着し、捕って食べられるほど増えてくれることが夢。その時は、かつて食べて忘れられない「カジカ丼」を堪能したいと笑った。
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(写真と文・矢内靖史)
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【 カジカ 】
カサゴ目カジカ科。全長は陸封型が15センチ、回遊型が18センチほど。日本固有種。水生昆虫や小魚を食べ、春に産卵。
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