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原発災害・「復興」の影
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「双葉郡」にしか頼めず 県内外の他への建設“非現実的”

「双葉郡」にしか頼めず 県内外の他への建設“非現実的”

国と県・双葉郡8町村との初の意見交換会であいさつする平野復興相。国は中間貯蔵施設の概要を示した=2012年3月10日、郡山市

 「なぜ双葉町が受け入れなくてはならないのか。原発事故で町に住めなくなった私たちが、さらに被害を受ける内容に納得などできない」。11月中旬、前双葉町長の井戸川克隆(67)は埼玉県加須市の自宅で、除染に必要な中間貯蔵施設が町内に建設される方向で協議が進むことにいら立ちを隠さなかった。「施設が必要なら、事故原因者が責任を取るしかない。東京電力の本店の中に造るべきだ」
 双葉、大熊、楢葉3町の複数の場所に施設を設置するとの政府方針に、町長だった井戸川は強く反発。施設をめぐる会議に欠席したことがきっかけで昨年12月、双葉地方町村会長を辞任。その後、町長も辞職した。

 「反対するのは当然」
 「反対するのは当然。だが政府として設置をお願いするしかなかった」。初代復興相として同町村会や県との協議を重ねた参院議員平野達男(59)は振り返る。
 平野は施設設置場所の選定をめぐる政府内の当初の議論には加わらなかったが、「県内外の他の地域に分散して建設することも無論検討したはず」と推測。だがその場合、1カ所でも受け入れを拒絶されれば「他で駄目だった施設をなぜうちが」との意見が噴出し全地域で受け入れが困難になるため、現実的な案ではなかったとみる。「政府として胸を張って言える結論ではなかったが、当時から『もう帰らない』と話す人もいた双葉郡に、一点集中で要請するほかなかった」
 平野はまた、30年以内に県外で最終処分するとの国の方針について「使用済み核燃料の処分問題と同じ(先送り)と指摘されても反論できないが、事故が起きた双葉で最終処分とは道義的にも言えなかった。言った時点でこの話はなくなっただろう」と率直に言う。
 こうした経緯について、施設構想の責任者である環境相を務めていた細野豪志(42)は、「今は取材を受けていない」として、福島民友新聞社の取材に応じていない。

 「思わせぶりやめて」
 「究極の迷惑施設」(平野)をめぐる地元と政府の協議は今も続くが、覚悟を決める避難者は日に日に増える。大熊町から会津若松市に避難する西内道郎(64)は「郷愁に駆られる人も多かった避難当初ははっきり言えなかっただろうが、もうずいぶん時間がたった。早く造ったらいい」と訴えた上で、こうも指摘する。「施設ができるのに、『除染したら帰れる』などという思わせぶりはもうやめてほしい」(文中敬称略)

(2013年12月2日 福島民友ニュース)



( 2013年12月2日付・福島民友新聞掲載 )
 

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