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国主体の調査を避けた県 思いに反し県民の不信感拭えず
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福島市で開かれた県民健康管理調査の部会では、国の関与の必要性が指摘された=2日
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「国がやるべき。皆さんからも言ってください」。福島市で2日に開かれた県民健康管理調査の個別部会。部会長の日本医科大大学院教授の清水一雄(65)は会議後、記者らに話した。
清水が冒頭の言葉を発したのは、検査対象の子どもが成長し、全国に散らばることで現在のような県内に会場を設けた調査で対応しきれるのかという話題の時だった。国が関与すれば、少なくとも全国で調査する環境を整えるのは可能だ。
「国はいわば加害者」
原発事故の影響を調べる調査を国ではなく、なぜ県が主体となって行っているのか。調査の進め方を議論する検討委員会の座長星北斗(49)ら複数の関係者は「原発は国策で、国はいわば加害者。(加害者に)健康調査をさせるわけにはいかなかった」と明かす。
県は調査を始める際、調査費用に限定した交付金を国から受け取ることに難色を示し、使途に県の裁量が及ぶ基金として県に費用を交付するよう求めた。調査費として金を受ければ、国の意向が調査に影響しかねないという考えだった。
本県には福島医大という、国立ではない医学部があり、県で調査できるという目算が県にはあった。調査で集めた調査票は県が保管することで、後に健康被害とみられる症状が出た場合、一人一人について放射線の影響を検討する材料にできるという狙いもあった。
加害者側ではなく自分たちで調査する。その県の当初の志に反して、調査は県民の信頼を得られていない。調査票の回収率は20%台半ばにとどまっている。原発事故当初に行政から十分な情報が開示されなかったことへの不満、受診者への説明不足などが不信感の背景にある。「医学研究のデータ集めに利用されているだけ」との声も聞かれる。
感じられない危機感
県は検討委員を刷新するなどして信頼獲得に躍起だが、直接の担当者らから信頼に関する危機感は伝わってこない。県民健康管理調査で検査部門を担う福島医大教授の鈴木真一(57)は首をかしげながら言う。「僕自身にはあまり批判などは聞こえてこない。(批判しているのは)たぶん、まだ検査などを受診していない人なのではないか」(文中敬称略)
(2014年3月5日 福島民友ニュース)
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( 2014年3月5日付・福島民友新聞掲載 )
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