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原発災害・「復興」の影
風に惑う
 
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“二極化”する消費者 県産「買う」7割近く、「拒否」は3割

“二極化”する消費者 県産「買う」7割近く、「拒否」は3割

放射性物質検査の手順を示した注意書きの下で、野菜は午前中に売り切れ「ご好評により〜」の札のみが残る=伊達市・んめーべ

 伊達市の国道4号沿いにある農産物直売所「みらい百彩館んめーべ」は2013(平成25)年度、原発事故のあった10年度を上回る5億1000万円の売り上げがあった。県や国、市町村が「風評払拭(ふっしょく)」を最優先に掲げる中、地元野菜の売れ行きが原発事故前を上回っているのは意外な感もある。店長の高橋弘(48)は「まだ伸びているという実感はないが、売り上げが戻ってきているとは感じる。ただ、事故がなければもっと売り上げはあったのではないか」と控えめに話す。

 「気にせず食べる」
 店の中には所々に「検査を全戸実施。安全の確認されたもののみ販売」との注意書きがあるが、その下の野菜棚の「ご好評により売り切れ」の文字の方が目立つ。店内には子ども連れの姿も多い。9カ月の長男を連れてきた国見町の主婦越前和歌子(29)は「放射性物質を測っているものは気にせずに買っている。子どもにも食べさせる」と検査への信頼を口にする。
 県消費者団体連絡協議会が昨年実施、1月にまとめた県内調査では、県内産の食料品を最も多く購入すると回答した人は67%に上る。12年実施の調査では県外・外国産46%に対し、県内産は42%。県内産がこの1年間で逆転した形だ。
 一方で、県産品に拒否反応を示す層が他県に比べて多いことも目につく。調査で「基準値以内でも受け入れられない」と回答した人は30%。消費者庁の全国調査で「受け入れられない」と回答した割合19%を上回っている。
 給食に地元米を使わないよういわき市に要望しているグループの代表鈴木さおり(44)は「『風評』というのは無害なものに対しての言葉。今、食品で測っているのはセシウムだけ。影響だって分かっていない」と話す。給食に使う地元産米は全袋検査を経て「安全」とのお墨付きが付いたものになるが、鈴木は「健康への影響が分からない以上、セシウムの基準値や検出限界値を下回っていることが安全の証明にはならない」と強調する。「農家の思いも分かるので複雑ではあるけれど、命が大切なのは誰も否定できない」

 「安全の担保が大事」
 原発事故から3年が経過し、放射性物質の検査結果で基準値超過が見つかれば、検査のチェック機能が働いているためとみることもできる。しかし、不信の目で見れば、基準値超の食品があり、まだ県産品は危険だと捉える人もいる。
 県産品の流通などを調べている東京農大教授の門間敏幸(64)は「極端に拒否反応を示す層は”安全情報”に耳を傾けることはない。ただ、こうした層は情報発信に熱心な人が多く、安全と分かってもらえれば波及効果もある」と話し、こう付け加える。「まずは県産品を買っている人の信頼を損ねないよう、安全を担保していくのが重要だ」(文中敬称略)

(2014年3月29日 福島民友ニュース)



( 2014年3月29日付・福島民友新聞掲載 )
 

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